番組概要
北マリアナ諸島の一つ・テニアン。太平洋戦争時、この島で日本人が玉砕し、原爆を搭載したB29が飛び立った。悲劇の痕跡と再び忍びよる軍関連施設整備の現状を追う。
番組詳細
北マリアナ諸島の一つ・テニアンは、サイパン島から約8㎞の小さな島。80年前、島はアメリカ軍の爆撃機が原爆を搭載して広島・長崎に向かった発進拠点であり、その前年には日米が激戦を交わし、日本兵や民間人など約1万5000人が亡くなった地でもある。
玉砕から生き延びた新垣光子さんは、多くの日本人が身投げした海を思い出し恐怖で涙する。手榴弾を使って一家で自決しようとしたが不発に終わり、父親に殺されかけた伊藤久夫さんは「愛があるから家族に手をかけた」と父を偲ぶ。テニアン島で暮らす日本人の佳子・マングローニャさんは、21年前、島であった式典で原爆投下部隊を指揮したポール・ティベッツ元大佐が任務を誇らしげに紹介する姿に衝撃を受ける。
父親をテニアン戦で亡くした山崎功さんは、7年前から島での遺骨調査に参加し、いまだ故郷に戻れない遺骨を発掘している。島には戦争の傷跡が残り、当事者の傷も癒えぬまま迎えた戦後80年、アメリカ軍による新たな訓練場が整備されようとしている。戦争の足音が忍び寄る島を見つめ、私たちがすべきことを考える。