番組概要
相田みつをの人生をかすかに照らした「外灯」。晩年の作品を通して感じた父の心境の変化とは?相田一人さんのお話です。
番組詳細
父、相田みつをは1991年に67歳で亡くなりました。父亡き後、私は遺作集を編集しました。アトリエの整理をしていると、こんな作品を見つけました。【 外灯というのは人のためにつけるんだよな わたしはどれだけ外灯をつけられるだろうか 】これを見て、私はびっくりしました。「外灯」も「人のために」という言葉もこれまで父の作品に出てきたことはなかったからです。父の作品に一番多く出てくる言葉は「自分」です。
徹底して自分にこだわり、見つめ、言葉を紡ぎ出して書にした人間です。自分と対話することは、作品を生み出す一番の原動力だったと思います。では、なぜこの作品を晩年に残したのでしょうか。真っ暗な道を歩いていて、電柱などにほのかな明かりが灯っているとホッとしますよね。徹底的に自分にこだわり、自分を見つめて書いてきた言葉、それが結果的に、父にとって自分のための外灯にもなったのではないかという気がするのです。
【 つまづいたっていいじゃないか にんげんだもの 】父はそんなつもりで書いたわけではないと思いますが、父の人生の暗い道、大変な道をかすかに照らす言葉になったのではないでしょうか。父は晩年、自分が紡いできたこういった言葉が自分にとって結果的に外灯の役割になったのであれば、もしかしたら人がその言葉を見て外灯のように感じてくれるかもしれないというような心境にふとなったのではないか、そんな気がしています。
講師/相田一人(相田みつを美術館元館長) 司会/北村花絵(テレビ静岡アナウンサー) 手話通訳/石川ありす
【番組ホームページ】 http://www.sut-tv.com/show/terakoya/