番組概要
生き方の選択肢が増えたいま、自分らしく人生を生き抜くために。「在宅ホスピス医」として活動する内藤いづみさんが向き合った、いのちのメッセージとは?
番組詳細
ある日、娘夫婦と同居している高齢の女性が私の外来に来ました。娘さんが一生懸命お母さんを見ており、母娘は離れて暮らしたことがありませんでした。私たちは、まずその方たちの「課題は何かな?」と考えます。人生の最終章を考えたとき、母と娘が自立して旅立てるような助けが必要だと思いました。娘さんは「私は母を家で看取れません。大好きな母を失うなんて怖くて悲しくて、その時は入院させると思います」と言っていました。
お母さんが100歳になったときのことです。悪性度の高い乳がんが見つかり、母と娘は迷った末に積極的な治療はしない決断をしました。お母さんがホスピスケアの患者になったのに、娘さんはちゃんと介護しています。「大丈夫そうだな」と、私たちは見守っていました。痛みが出たら痛み止めを少しずつ飲んだりしながらお家で過ごすようになり、「先生、私が逝っても娘とは仲良くしてあげてね」と頼まれました。母親って偉大ですね。
しばらくすると、「昨日、父ちゃんとお母ちゃんが来た」とお母さんが言い出しました。あの世の人が夢に出てくるお迎え現象です。「今日は大きな集まりになるから、来た人みんなに赤飯を持たせたい」と言われた娘さんは赤飯を作り、「お母ちゃん作ったよ」と言うと、だんだん危篤になっていたお母さんが目を開けて「ありがとう、よかった」って。娘さんは、「お母ちゃんいってらっしゃい」と言えたそうです。見事な看取りでした。
講師/内藤いづみ(在宅ホスピス医) 司会/北村花絵(テレビ静岡アナウンサー) 手話通訳/石川ありす
【番組ホームページ】 http://www.sut-tv.com/show/terakoya/